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我輩は影のオーナーである。名を「さちこ」という。
普段は地方都市にある本社社長室の座布団型デスクの上で 瞑想している。


時折、店の方から「視察に来い」との要請がある。面倒くさいことこの上ないが、従業員から献上されたホッケに免じて、行ってやることにしよう。

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2012年11月

2012年11月17日 (土)

好き嫌いも病院で治す時代 ~ニンジン嫌いの救世主、あらわる~

このブログで何度書いたことかわからないが、わが店で最も古株の従業員は

ニンジンが大嫌いである。

 

その嫌い方たるや、カップラーメンのかやくに入った細切れサイズですら

憎しみを覚えるほど。ニンジンを一かけらずつ取り除く姿を見るたびに、

そのやる気と忍耐力を他に生かせと強く思う。

Ncm_0057


写真は従業員がかき揚げから一歩ずつ丁寧に抜き取った人参だ。

冷め切ってボロボロになったかき揚げを、従業員は満足そうに食べている。

 

そうそう、わが店のクリームシチューにはやたら大きなニンジンが入っているだろう。

それは、わが店が食べごたえ重視、というところもあるのだが、

「ニンジン好きは素材の味を楽しめるように。そしてニンジン嫌いの人は

一個だけどかせばあとは安心して食べられるように」という、従業員の優しさのあらわれなのだ。

わが店はニンジンについてだけは、徹底的なバリアフリー対策がなされているのである。

 

 

そんなある日、わが店に激震が走った。

ニンジン嫌いで従業員と双璧をなしていた常連客・H嬢が、なんとニンジン嫌いを克服したというのである。

 

いったい何があったのか、借金をタテに脅されたのかという憶測まで飛び交ったが

(むろんこの説を押したのはニンジン嫌いの従業員である)、

先日ひょっこりわが店を訪れたH嬢を捕まえて聞いてみたところ、原因があっさりと判明した。

 

なんと、病院にかかったためだというのである。

先日ちょっとした病のため数週間ほど入院をしたというH嬢。

ところが、その病院の病院食がクセモノだったらしい。

「それがもー、毎日毎日ニンジンばっかり出てくるの!いやがらせみたいに!

気が狂うかと思ったわ!」

 

ここまでの話を、もはや他人の話とは思えない悲痛な表情で拝聴する従業員。

私がオーナーになって数年、こんな苦しげな表情は見たことがない。

 

「……で、結局どうしたんですか?」

口火を切った従業員に、H嬢はこともなげにこういった。

「そりゃ当然食べたわよ。ニンジンを。ほかの食べ物もないし、何よりおなかすいたしね!」

 

そうして「ニンジンだらけの病人食」で命をつなぐこと数週間。

彼女は見事にニンジン嫌いを克服したというわけだ。

 

「みんなにもおすすめしますよ!ニンジン嫌いで困ったらぜひ行ってみてください!」

そう言い残してさわやかに去っていくH嬢。

彼女が食べたあとの麻婆春雨の皿には、一かけのニンジンも残されてはいない。

 

 

「もし自分が病み上がりでニンジンしか出てこなかったら……あああ想像するだけで

胃が痛い。というか病気が完治する前に死ぬ!死因がニンジンなんて嫌だ!」

 

「ニンジンだらけの病院」の話を聞き、恐怖におびえながら炒め物から

ニンジンをのける従業員。


……従業員よ、今のうちにせいぜいおびえておくがいい。実は彼女から、その病院の

名前・住所・彼女がかかった先生の名前まで秘密裏に教えてもらったのだ。

これでもう怖いものはない。

ちみちみとニンジンと戦うみみっちい従業員の姿とはおさらばだ。

 

そのうちこっそり従業員を病院に行かせようかと画策している。

むろん、元来頑強な従業員のこと、深爪やかさぶたなどの用事が関の山だと思うが。

Ncm_0055_2

 

 

ただし、今は寒いのでもう少し暖かくなってからだ。私は寒いのが嫌いなのだ。

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