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我輩は影のオーナーである。名を「さちこ」という。
普段は地方都市にある本社社長室の座布団型デスクの上で 瞑想している。


時折、店の方から「視察に来い」との要請がある。面倒くさいことこの上ないが、従業員から献上されたホッケに免じて、行ってやることにしよう。

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2017年8月28日 (月)

暦の上では秋だが、開き直ってビールを紹介する

さて、お盆休みもとうにすぎたが、ようやく夏本番の気候になったようだ。
夏にも関わらず雨が続き、このまま秋突入かと
気温同様私の肝もかなり冷えきっていたのだが、悪い予想があたらずよかったよかった。
早速、暑くなるまでネタを取っておいた新商品についてお話させていただこう。
(涼しい気候につられて、ついすやすやと寝入っていたわけではない。決して)

*****
ここ数年、再びビールに脚光が集まっているという。
それも原料や味わい、製法に趣向を凝らした個性派ビールの波が来ているという。

そこで色も材料も味わいも様々なビールのなかから、
ビール初心者にすすめたい一本を新たにラインナップした。

それがこちら、はるばるベルギーからやってきた「ヒューガルデン ホワイト」だ。

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小麦を加えて醸造することで、ビールとは思えぬ軽く爽やかな口当たり。
さらにオレンジピールやコリアンダーシードを加えることで香りもよく、カクテルのように
すいすいいただける味わいになっている。
柑橘由来のキツイ酸味やパクチー由来の激臭
(個人的な感想が全面に出てしまい申し訳ない)は全くないので安心してほしい。

シュワッと爽やかでのど越しもよく、我が店のどんなおつまみにも相性がいい。
飲み会初めの一杯はもちろん、時間が経っても香りがたっておいしいので、
ちょっとゆっくり飲みたいときにもおすすめだ。

今回はお試しで1ケース仕入れたとのこと、在庫限りでいったん終了となるので
気になった御仁はぜひお越しを。


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久方ぶりにブログを更新に悦に入る私。
これで従業員の小言攻撃を気にせずぐっすり眠れるというものだ。

2017年6月30日 (金)

自由が丘 名店の法則発見 ~マジのつく店にはずれはない~

本日も私のしたためた文を読みにきていただき、誠にありがたいことである。
私の警句をことごとく聞き流す従業員とは違って、
知性の輝きに満ちあふれた皆様に深く御礼を申し上げたい。

ところで皆様は、どのようにweb上で我が店を探しておられるだろうか。

私もこの文の出来栄えを確認するために「自由が丘 マジョリカ」と毎回検索していたのだが、
最近の検索エンジンとやらは実に察しがよく(従業員とは大違いだ)、
「自由が丘 マジ」まで入力すれば「自由が丘 マジョリカ」と検索候補を出してくれていた。
これもこの地で30年にもわたり根を張り続けたからであろう。
私はそう思っていた。

ところがだ。

先日も従業員にこのマジョリカのサイトを開くためいつも通り検索させたのだが、
「自由が丘 マジ」まで入れたところで見慣れぬ店名が表示された。

「自由が丘 マジドゥショコラ」

しかも我が店よりも上に。

調べてみれば2016年12月にオープンした新参の店だというではないか。
わが店も30年分の意地がある。
そう易々と「自由が丘 マジ」界の頂点を渡すわけにはいかない!

というわけで、さっそく従業員を偵察に差し向けた。

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なんとも瀟洒な店構え。原料にこだわるチョコの専門店ということで、
従業員も臨戦態勢で店へと入っていった。

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そしてあっさりチョコの魅力に陥落して帰ってきた。
「難しいことはわかんないですけど、やっぱり高いチョコっておいしいですね~」
のんびりとチョコをほおばる従業員に戦意を喪失し、「自由が丘 マジ界」の頂点をめぐる
狭い狭い争いは、ひっそりと幕を閉じたのだった。

*****
そして、自由が丘界隈にまた一つ、新しい名店のジンクスが生まれ落ちた。

「自由が丘で「マジ」のつく店にハズレなし」

皆さまもぜひチョコが食べたくなったら「マジドゥショコラ」へ、
それ以外の時には我が店マジョリカにお越しいただきたい。

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「自由が丘 マジ」界への新たな挑戦者を警戒する私。
私の戦いは、毎度頓馬な従業員つきのハンデ戦の様相を呈している。

2017年5月28日 (日)

潜入、自由が丘マリクレールフェスティバル

風薫る五月ももう終盤、皆様はいかがお過ごしだろうか。

このさわやかな季節を楽しみつくすため、この自由が丘の町ではこの三日間、
「自由が丘マリクレールフェスティバル」という催しが開催されていた。

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フランスの街角で開かれているような…という誘い文句にふさわしく、
祭りを彩るのは提灯ではなくおしゃれな観葉植物。
ラムネの代わりに白ワイン、綿あめのかわりにキッシュやタルトが立ち並び、
極め付けは祭囃子の代わりに流れるマイ・フェイバリット・シングス。

おしゃれさの洪水のような様々な催しに、偵察にいった従業員は目を丸くしていた。

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(写真はおしゃれさに当てられてつい購入したバジルチキンと白ワイン。 体形まで丸くしてどうする)

だが、自由が丘を甘く見てはいけない。


10月には「自由が丘女神祭り」がある。

開催エリアをさらに広げ、町中が一体となって皆様を怒涛のおしゃれムードへと巻きこんでいく
自由が丘のメインイベント、今回行き逃した方にもぜひお越しいただきたい。

祭りが終わったらその足でぜひわが店、マジョリカへ。
私はこの町の生ける女神として気を張っているが、店内と従業員はいつもリラックスムードで
皆様をお待ちしている。
腹に力をためておしゃれな祭りを楽しんだ後は、わが店でゆるりとくつろいでいってほしい。

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従業員にはもう少し緊迫感を持ってほしい、というのはいわないことにしておこう。


2017年4月29日 (土)

従業員、大根おろしで芸術品を創る

それは、ある暇な日の夕食のときのことだった。

この日は従業員と久々にほっけを試食するということで、
私も気合を入れて待機していた。
(我が店で出されるものの品質チェックはオーナーとしての重要な責務である。
私がどうしても食べたくなってねだったわけでは決してない。)

じゅうじゅうと脂の焼ける音を立てて、オーブンからほっけが出てきた。
皮目は箸で触れるだけでパリッといい音を立て、なんとも言えないふくよかな
いい匂いの湯気を立てて皿で私を待ちわびていた。

そんな熱々のホッケを目の前に、今日に限って従業員がなかなか皿を持ってこない。

繊細な舌を持つ私のために、ほっけを一部取り分けておいてくれている…
というわけでもないようだ。

ええい従業員よ、何をもたもたしている!
こんな食べごろのホッケを目の前におあずけを食らわせるなど悪魔の所業!
早く私のところへともってこい!!

私のいらだちを知ってか知らずか、従業員はのんきな声で
「見てくださいオーナー! ちょっと前に流行った大根おろしアートで
オーナー作ってみました~」

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おデブなラインがそっくりでしょーなどと無礼なことを言いながら、自画自賛ばかりで
一向にホッケをよこさない従業員に対し、私は思い切り猫キックを食らわせたのだった。


もし万に一つもご興味が湧いたかたは、従業員が手すきの時を見計らって
「ホッケをひとつ、オーナー付きで」と頼んでみてほしい。

なお、件名に挙げた「芸術品」とは従業員の大根おろしアートの出来栄えのことでは
全くなく、このモデルの私が、芸術品のように美しいというだけなのでお間違いなきよう。

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さすがに大根おろしでは私のにじみ出る気品までは再現できなかったようだ。

2017年4月 6日 (木)

マジョリカ、花の季節に餃子を紹介する

私が布団の中で春の訪れを祝っている間に、エイプリルフールが過ぎ去ってしまった。
なんということだ。今年も渾身のオーナージョークを温めておいたというのに。
この悔しさをばねに、今回のブログは写真と内容を盛りだくさんにしようではないか。
(決して小粋な嘘が思いつかなかったわけではない。決して。)

先週末が花盛りと申した天気予報を華麗に裏切り、
自由が丘の緑道は今こそが満開の花見ごろである。


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けぶるように咲き誇る桜並木の下を歩くと、花の香りがふわりと鼻に届くほどだ。
おそらく今週末には花吹雪となってしまうだろう。その前にぜひ見事な光景をお楽しみいただきたい。

*****
そんな花盛りの自由が丘とは全く関係ないが、我がマジョリカの餃子を紹介しておこう。

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(※写真では5個入りになっているが実際は6個で一皿である)

豚肉たっぷり、野菜もたっぷりの自家製の餡を
焼く直前に一つずつ包んでから焼き上げる、ちょっと手間のかかる一品だ。
(なんでも包んでから時間が経つと皮がべっちょりしてしまうそうで、
従業員のささやかなこだわりである)。
もっちり厚めの皮が豚肉のうまみをしっかり閉じ込め、ビールが進むことこの上ない。
居酒屋の餃子としてはかなり高いレベルなのではとつい私も疑うほどだ。

花より団子とにんにくを、という方はぜひお越しを。

ついでに現在のお通しもビールによくあうのでおすすめしておこうと思ったが、
ぼんやりした従業員のぼんやりした説明からは料理名が判別できなかったので
写真の掲載にとどめておく。
「でもみんな絶対好きなやつですよ! 
きゅうりがピリ辛ででもちょっと甘みもあってシャキシャキですよ!!」
と熱を込めて語ってくれたがわからないものはわからない。

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背後にあるのは「大きさの参考に…」と従業員がそっと気を聞かせておいてくれた 「三岳」だ。気遣いはうれしいが何かが確実に間違っている気がする。


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2017年4月 1日 (土)

マジョリカ、自由が丘の花見によせて

さて、4月である。年度初めである。花見時である。

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我が店から一本入った自由が丘の桜並木もちらほらとつぼみがほころびはじめ、
奥沢二丁目公園の近くの木はもう満開の花見ごろ。

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駅前には「さくらまつり」の出店も並び、街を挙げてお客様を迎え入れる準備は万全だ。

我が店にまったくメリットがなくとも、我が町を訪れるお客様に
有益な情報を差し上げるのもオーナーの務め。
早速自由が丘で30年続くお店のオーナーが教えるお花見の穴場スポットや
桜祭りの楽しみ方などをここに書き綴ろうと思っていたのだが。
ああ、まったくなんという運命のいたずらか。


桜の満開予報の出た本日は雨、そして明日も曇りがちで天気が不安定、
しかも気温もまだまだ寒いというではないか。

なんということだ。こんな中外で花見酒などしては、我が町を訪れた
大切なお客様が皆寒さに凍えてしまう。
せっかくおしゃれな街自由が丘に来ていただいたのに、その手足をかじかませて
帰すなど、そんな非礼が許されるはずがない!

と、いうわけで。
明日自由が丘に花見に繰り出そうと思われる御仁は、
遊歩道や子どもたちの憩いの場・奥沢二丁目公園でたっぷり
桜を楽しんだあとは、美しい桜を心に刻んでどうか我がマジョリカで暖を取ってほしい。

いつも魅力満開の私と頭の中が春模様の従業員、
そして数々のあったかメニューとお酒を用意してお待ちしている。

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従業員に目を光らせつつ、特等席で暖房の効き具合を抜かりなく確かめる私。
この暖かさならお客様を迎え入れるのに申し分ないだろう。

2017年3月28日 (火)

マジョリカ 最強のお通しを開発する

開業して30年も経った今こういうのも難だが、今マジョリカには
料理革命の風が吹き荒れている。

きっかけは従業員が偶然出会った、やたらおいしいだし(詳細は企業秘密)だ。

それを使えば煮物も味噌汁も抜群にうまい。炒め物にほんの少し加えて風味をつけてもいい。
この素晴らしいおいしさを何とかお客様にも伝えねばと、従業員が苦心惨憺の末
新たな料理を作り出した。

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見た目はただのこんにゃくの煮物だが、
立ち上るお出しのいい香りをお伝えできないのが残念でならない。
圧力なべで4時間かけて煮込まれたこんにゃくはだしのうまみを芯まで吸い込み、
口の中でほろりとくずれるその食感は、煮凝りを思わせるほどやわらかい。

が、まさかの具がこんにゃくのみ、絵面のあまりの地味さもあいまって、
残念ながらお通しのみでの提供となっている。

最近仕込んだものがまだしばらくはあると思うので、ぜひ従業員渾身のお通しを
ぜひ味わいにいらしてほしい。
が、これは従業員のマイブームが生んだ奇跡の産物、作るのにあまりにも
手間がかかるので、別のお通しに切り替わっていたら、ああブームが過ぎたのだと
笑ってやりすごしてほしい。

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従業員が鍋を見張るあいだ、特等席を独占する私。
うるさい奴がいないと思索もはずむというものだ。


2017年3月12日 (日)

マジョリカに謎の飲み物、襲来

しっぽの先まで冷え切るような寒い日が続いている。
おお、なんという地獄。なんという恐怖。
こんな日は猫舌の私も、すこしあたためたミルクなど飲んで身体の芯から
ほっとしたい。従業員たちも同じ思いなのか、ストーブの前で飲み物を広げ始めた、
と思いきや、私は目を疑った。

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「いったい誰が買うのだろう」と横目で通り過ぎる飲料が、いま、
私の眼前にずらりとならんでいる。

「珍しいから買ってきた」とそっけなく告げる従業員に「なぜ味で選ばない」と
突っ込みを入れる間もなく始まった「恐怖のコーラ品評会」、短いが早速レポートしていこう。


まずは名前からは泥臭さがにじみ出ている「鰻コーラ」。
白焼き、蒲焼、肝吸いといった美味を思い出すにつけてもコーラにできる気は
一切しない。早速飲んでみると魚としての鰻味、というより
甘辛の鰻ダレをコーラにしたような味だそうだ。
私としては鰻はそのまま食べたいし、ましてやコーラにするなど理解不能だ。
人間とはわからないものである。


「白米にあう?!」というラベルに従業員が思わず「ダウト」とつぶやいた
「梅干しコーラ」は、意外にも普通においしかったそうだ。
コーラの薬っぽい感じが苦手な従業員も、梅の酸味と塩みでさわやかに飲める!と
太鼓判だ。ただ同時に、白米には決して合わないだろう、と分析していた。
米好きの従業員は白米にシュワッとさわやかさは求めていないのだ。


さて、今回一番の鬼門「カレーコーラ」。注いだときの匂いはそれほどでもなかったが、
一口ふくむと、ねっとりと広がるカレールーの味、味、味。
だが後味は妙に甘い。
「前飲んだカレーラムネよりカレーが濃い」というのが従業員の総意だったが、
こんなキワモノカレー飲料を飲み比べたことがあること自体が
おかしいと思わないのだろうか。


すべて飲み終わった後、「今回はあんまりパンチがなかったね」と従業員の一人がぽつりと
つぶやいた。ほかの従業員もうんうんとうなずき、それぞれの持ち場に戻っていった。

なぜ、飲み物にパンチや珍しさをもとめるのか。

口に入れるものにまずさや恐ろしさを求めるのはなぜなのか。

従業員の頓馬な考えを理解しようと思ったが、やはり人間とはわからないものである。

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写真は従業員が飲み物品評会に勤しんでいる最中の私。

(以前従業員が謎の飲み物を飲み比べたときのレポートがこちら。
http://g334100.blog.gnavi.co.jp/blog/2009/08/post-f607.html
8年前から何一つ変わっていないのが恐ろしい。)

2017年2月13日 (月)

マジョリカ、一攫千金を目指して

厳しい寒さに身を縮め、機をうかがっているうちにとうとう2月になってしまった。

さて、先の日記は従業員への愚痴に終始するなど、この高貴な私には
ふさわしくない内容となってしまった。今回はこのようなことのないよう、
ちょっと景気のいい話をさせていただこう。

*****
昨年の中頃だったか、従業員がいつにもましてへまを連発した時期があった。
まあ、へまといっても大したものではない。
連日同じ野菜ばかり買い置きしてしまったり、ほかの従業員の足をうっかり踏んだり、
ほかの従業員のおやつを間違えて食べてしまったり、という程度だ。

お客様や何よりこの私に被害が及んでいないので
別に全然まったく何一つ気にしていなかったのだが、
従業員は猛省したらしい。突然謎の小包をもってやってきた。

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「今までのご無礼は、ひとつこれでよしなに…」といって
差し出されたのは、その名も「黄金色のお菓子」という珍品中の珍品。
(なんでもネットで見つけたらしい)
景気のいい名前と、明らかにどこかの越後屋で見たことのありそうなルックス。
小判型の金の紙包みのなかにダックワーズが一つずつ入っているこだわりようだ。
この悪代官感満載のおみやげに、おやつを取られた従業員も思わず大笑い。

「越後屋お主も悪よのう…」などとつぶやきながら、なしくずし的に仲直りしていた。

*****
そしてそれから数か月後、「黄金色のお菓子」を持ってきた従業員が
またしても小包を手にやってきた。
なんでも週末に加賀百万石の街・金沢に遊びに行ったそうで、
土産は豪華に金色に輝く「金粉入りカステラ」であった。


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「金の味しないね」などと馬鹿な感想をいいながら、
もぐもぐとカステラをほおばる従業員たちをしり目に、
私は我が店をゆるがす重大な事実におののいていた。

さて、皆様もお気づきだろうか。


従業員がお菓子を持ってくるたびに、金の含有量が徐々に増えているのだ。


金の厚紙に包まれた焼き菓子(金含有量0)から、
表面に金箔がかけられたカステラへ。


なんということだ。この従業員がもう3回ほど出先で菓子を買い求めたら
そのうち金の延べ棒が手に入るに違いない。
私も我が店の従業員も遊んでくらせるではないか。


この事実に気づいてからというもの、私はこの金の手をもつ従業員に
気づかれぬようにこっそりとプレッシャーをかけている。

さあどうした従業員よ、早く遊びに行くがいい。そして金を手に戻ってくるのだ。


私のそんな思いを知ってか知らずか、今日も従業員は熱心に働き、
そして熱心にへまをやらかしている。


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厳しいまなざしをなげかける私。視線の先にはもちろん例の従業員だ。

2017年1月25日 (水)

新年のご挨拶

さて、輝かしい2017年の到来である。
まずは新年の寿ぎの挨拶からはじめよう。

昨年も賢明なお客様方のおかげで我が店は大賑わいであった。
本年も頓馬な従業員のことは振り捨ててもいいので、
私のことは重点的によしなにお願いいたす次第である。

「年明けから20日も経ってから年始の挨拶なんて遅すぎる」などと
後ろから無粋な従業員の声が飛んでくるが構うものか。
従業員たちは新年の晴れがましささえすぐに忘れる鳥頭だから
そんなことを言うのだ。
この私のように日々を謙虚に、すがすがしい気持ちで迎えていれば
新年など何するものぞと私はいいたい。

そもそも「寝正月」などと言い訳して正月中だらだら過ごし、
今なお元のリズムに戻れず正月を恋しがるなど愚か千万。
この私を見るがいい。つねに店を思い、顧客を思い、
一人目を閉じ静かに思索にふける(足元にもちろん布団は欠かせない)、
そんな厳しくも規則正しい生活を続け、正月ボケなどとは一切無縁だ。

従業員たちも鳥などではなく私の爪でも煎じて飲んで、
俗世のイベントに惑わされない心をもってほしいものである。

…おっと、新年早々従業員への小言に終始してしまい申し訳ない。
この私の美貌に免じてお許しいただきたい。


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憂い顔も魅力的な私。寝起きでぼんやりしているわけでは決してない。


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